Source: Digiday Japan | April 10, 2019
Source: Digiday Japan | April 10, 2019
広告のターゲティングや追跡を行う企業が、コネクテッドTVなどクッキー(cookie)を利用できないデバイスを識別するためによく利用しているのが、IPアドレスです。しかしいま、「IPv6」と呼ばれる新しいIPアドレスへの移行が進んでいます。これにより、個々のデバイスをより確実に識別できるようになりますが、デバイスの追跡で混乱がもたらされる可能性もあります。
人々がサイトやアプリにアクセスするときにやり取りされるIP(インターネットプロトコル)アドレスは、インターネット上で電話番号のような役割を果たす番号です。通常は、インターネット接続に使用されるネットワークごとに、固有の番号が割り当てられます。したがって、同じWi-Fiiネットワークに接続しているコネクテッドTVとラップトップは、同じIPアドレスを持つことになります。
一般に、IPアドレスはデバイスの場所を特定するために使用されます。しかし、広告会社がデバイスと個人を対応付けたり、コネクテッドTVなどに広告を配信するためにデバイスと世帯と対応付けたりするために使うこともできます(後者のケースのほうが多いでしょう)。「特にコネクテッドTVの場合、常に取得できる永続的な識別子がないため、我々はこれ(IPアドレス)を利用してリーチやコントロールの頻度を決めています」と、トレーディングデスク企業のザクシス(Xaxis)で北米地区のデータおよびテクノロジー運用マネージングパートナーを務めるマイク・ピスラ氏はいいます。
IPv6は、広告主にとってさらに役立つ識別子になる可能性がありますが、この新しい標準仕様への移行は混乱をもたらしており、またプライバシーに関する懸念を引き起こしています。デジタルマーケティングの未来に示唆を与える用語をわかりやすく説明する「一問一答」シリーズ。今回は、IPv6を取り上げます。
IPv6は、IPアドレスの次期バージョンの名前です。IPアドレスの世界では、現バージョンのIPv4から次期バージョンのIPv6への移行が10年前から行われています。この移行について知っておくべきことは、いままでよりIPアドレスの数に余裕が生まれるため、インターネットに接続するすべてのデバイスに番号を割り当てられるようになるということです。
IPアドレスを電話番号のようなものと考えてみてください。米国では現在、3桁の市外局番を含む10桁の電話番号が使われています。しかし、米国で電話番号を必要とする人が増え続け、10桁の数字の組み合わせでは全員に電話番号を割り当てることができなくなったとしましょう。この場合、20桁の電話番号に移行すれば、すべての人に十分行き渡るだけの電話番号を確保できます。これがまさに、IPアドレスで起こっていることです。IPv6は20桁の電話番号のインターネット版なのです。
「IPv4では、インターネット全体で利用できるIPアドレスの数が40億あまりに制限されています。たくさんあるように思えますが、推計によれば、現在インターネットに接続しているデバイスの数は数百億台で、さらに急速に増え続けています」と、IDマッチングを専門とするマーケティングテクノロジー企業バウンスエクスチェンジ(Bounce Exchange)のCTO、アンドレ・ヒル氏は指摘しています。